ゲーム・オブ・スローンズ/氷と炎の歌

[books]『乱鴉の饗宴』(上) (氷と炎の歌4)

乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)

乱鴉の饗宴 (上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者:ジョージ・R.R. マーティン
  • 出版社:早川書房
  • 発売日: 2013-01-25

# 表紙はジェイミー

すごく気に入っていたWPテーマ「nature fox」なのですが、

WordPressのアップデートをしたためか、調子が悪いので、

一時的に以前のテーマに戻しました。

CSSなんていじれないのよー。悲しい(T_T)

さて、いよいよ「氷と炎の歌」第四部『乱鴉の饗宴』に突入。

連休初日に届いたので、わりとイッキ読みできました。

単行本での発売は2008年ですが、この巻から翻訳者が変わったため、

いわゆる「訳語変更問題」が発生したものとなります。

が、遅れてきた読者(わたくし)ははあまり関係ない。

前巻までと比べて、ちょっと地の文の雰囲気が変わったな〜という気はしますが・・・。

タイトルの由来は、ジェイミーのこの述懐から。

香料を加えた蝋燭が点されているのに、死臭はますます強くなっていくばかりだ。その匂いは、ゴールデン・トゥースのふもとの道で起きた顛末を思い出させた。開戦当初の数日間、輝かしい勝利をあげたのがあの道だった。合戦の翌朝に見ると、戦場にころがった多数の死体には鴉どもが群がり、勝者と敗者の区別なく死の饗宴にふけっていた——トライデント河の戦いの後で、レイガー・ターガリエンの死体に群がっていたのと同じように。

この小説のもつ魅力のひとつは、

登場人物の誰一人として「予定調和」という言葉とは縁がなく、

誰にも「今日と同じ、安寧な明日が来る」とは言えないこと。

味方だと思っていたら敵だったり、

死んだと思っていたら名前を変えて登場したり、

オセロの駒が、2回も3回もひっくりかえるスリリングさ。

筋肉バカだったジェイミーは、

右腕とともに「剣」というアイデンティティを失ったことで、

「そのこと」に気がついたのでしょう。

*ー 以 下 ネ タ バ レ あ り ご 注 意 ー*

・謎めいたドーンの魅力

領土を接するタイレル家とは犬猿の仲、

ラニスター家とはプリンセス・エリアの件で、深い遺恨が。

そんな独特の存在感を放つ、ドーンのマーテル家。

ずっと謎の南国、という感じでしたが、

この第四部では初めてドーンの地の様子が語られます。

いわゆるウェスタロスの諸王国の大多数が、「アンダル人」を起源にしているのに対し、

ドーンは、「ロイン人」の伝説的な戦士女王ナイメリアとマーテル家の婚姻により、

全国土の共同統治が始まり、今にいたっている。

ちなみにこの「ナイメリア」という女王の名は、強い女性のシンボルになっているようで、

アリアは自分の大狼に同じ名前を付けていたし、同名の船などもあるようです。

マーテル家の人々は、ターガリエン家が王国を統一しても、ながらく抵抗を続け、

約200年後に姻戚関係を結んだことでようやく臣従したという歴史があるため、

ロイン人独特の習俗が色濃く残っていると言われます。

君主は「王」ではなく「プリンス」と呼ばれていたり、男女平等の継承権があったり、

血統、習俗、地勢、歴史、そのすべてにおいて、

ウェスタロスの他の王国とは、性質の異にする国だとのこと。

『乱鴉の饗宴』下巻に収録されている訳者による「用語解説」によれば、

ドーン人のイメージはこんな感じだそうです。

南のドーン人は、スペイン人のほか、ウェールズ人、スペインに侵入したムーア人、パレスティナ人等が複合的に投影されている由。サンスピア宮としたのは、原文に城等の単語が付随していないのに加えて、アルハンブラ宮殿を思わせる要素があったため。

インカ帝国っぽいのかな、と思ってましたが、全然違いましたね^^;;

・サンスピア宮とウォーター・ガーデンズ

重い痛風を患ってる現大公のドーラン・マーテルは、

普段はマーテル家の本拠サンスピア宮ではなく、海辺の道で15km離れた、

ウォーター・ガーデンズという夏離宮に引きこもっています。

このお城は、その昔、ドーンが<鉄の玉座>の縁戚になったことを祝し、

ターガリエンの花嫁への贈り物として大公マロンが築いたものということです。

とはいえ、たったこれだけの距離でも、両者は極端に世界がちがう。ウォーター・ガーデンズでは、太陽のもと、子供たちがはだかではしゃぎまわり、タイル張りの中庭にはたえず音楽が流れ、空気にはレモンとブラッド・オレンジの刺激的な香りがただよっている。かたやサンスピア宮周辺の空気にただようのは、ほこり、汗、煙の匂いだ。夜は夜で人声がなんとも騒々しい。加えて、ウォーター・ガーデンズの宮殿がピンクの大理石でできているのに対し、サンスピア宮に付随する市壁内の建物は泥と藁でできており、色は茶色と灰褐色が大半を占める。

またまた魅力的な建築物が〜〜〜。

ドラマのSeoson3ではまだドーンは出てこないよな・・・。

Seoson4かな。映像化が楽しみ。

・公女アリアンによる、ミアセラ「女王」擁立未遂

大公ドーラン・マーテルは、ひたすら「沈思黙考」の人。

自分のほんとうの考えを、ごくごく一部の相手にしか明かさないので、

ともすれば「保守的」「現状維持」と見られがち。

ミアセラがドーンに身柄を預けられると、いち早くジョフリー支持を表明したため、

ウェスタロスの諸王国が「五王の戦い」で内戦状態になっているにもかかわらず、

この地ではずっと戦は起こっていませんでした。

しかし、次代の大公と目されているドーランの娘、公女アリアンは、

決闘裁判で弟オベリンが死んでも、<鉄の玉座>に対して、

何ら行動を起こさない父親に失望しており、

また「父は弟クェンティンに大公位を譲るつもりだ」と思い込んでいることから、

なぜか非常に焦っている。

その理由というのが、幼くして他家へ預けられていた弟へ、

ドーランがこのような書状をしたためていたから、というのです。

アイアンウッド家のメイスターと武術指南役が要求することはすべて修めよ。なんとなれば、いつの日にか、おまえはわしがすわっている座につき、ドーン全土を治めることになるからだ。統治者なるものは、身も心も強くあらねばならぬ———

とても状況をよく分析していて、すごく賢い女性だーというのが窺い知れるのですが、

この焦りが惜しい。

「大公位継承者」という自分の地位を確立するため、

ミアセラの護衛である、サー・アリス・オークスハートに手引きさせ、

数人の仲間でミアセラをサンスピア宮から拉致し、

「七王国の女王」として戴冠させようと画策します。

しかし密告者により、その計画はサンスピア宮に筒抜けで、

サー・アリスは首を刎ねられ、一同は捕らえられてしまうのでした。

アリアンの気心の知れた者たちで構成された「仲間」たち。

密告者は誰なのか・・・。

・ベイロン・グレイジョイの死、「選王民会」

シオンの父ベイロンが頓死します。

しかし、第一継承者であるシオンは、ウィンターフェル落城のどさくさで生死不明

(というか、死んだと思われている)。

ベイロンの娘、シオンの姉であるアシャは、王位継承者として名乗りをあげようとする。

また、ずっと鉄諸島を離れていたベイロンの弟ユーロンが島へ戻り、

これまた「王」を自称し、自分をかつぐ賛同者を集めはじめます。

そこで、新しい王を決めるための「選王民会」が四千年ぶりに開催されることに。

・・・のですが、なぜか鉄諸島のエピソードは全然興味がわかず、話が頭に入ってこない(苦笑)。

ということで、詳細は飛ばします。

・プレーヴォスのアリア、<黒と白の館>

ジャクェンの残した<鉄の貨幣>を使って、アリアはプレーヴォスへ渡りました。

たどりついたのは<黒と白の館>。

ここは<顔のない男たち>の本拠であり、<数多の顔を持つ神>の聖堂。

静かに神と対話したり、死期を悟った人々が集まり、安らかに死んでいく・・・

という場所です。

ここに留まりたいなら、すべての持ち物を捨てろ、と言われて、

アリアは運河に持ち物を捨てに行きます。

しかし、小さな細剣<針>だけは手放すことができない。

<針>はロブであり、リコンであり、母であり、父だ。サンサでさえある。<針>はウィンターフェルの灰色の城壁であり、城住みのみんなの笑い声だ。<針>は夏の雪—–そして、ばあやの物語であり、赤い葉をつけ、恐ろしい顔をそなえた<心の木>であり、ガラスで囲った温室庭園のぬくもりをもった土の匂いであり、北風が自分の部屋の鎧戸をガタガタと揺らす音だ。なによりも、<針>はジョン・スノウの笑顔にほかならない。

泣ける〜。

結局<針>は運河べりの石段に隠すことに。

すべてを捨てたアリアは、<顔のない男たち>の見習い修行(?)を始めます。

・サーセイの野心の源

この『乱鴉の饗宴』は、キングズ・ランディング周辺のエピソードが中心で、

サーセイとジェイミーが視点人物になっている章が多いのですが、

その中で、じつはサーセイは、

レイガー・ターガリエンとの結婚を夢見ていた少女だったことが明かされます。

銀の弦を張ったハープに、その長くエレガントな指を躍らせて、夜ごと大広間で奏でるプリンス・レイガー——-その姿を眺めて、サーセイは幾夜ためいきをついたころだろう。あれほど美しい人が、かつてこの世に存在したことがあるだろうか。
(中略)
父タイウィンから、おまえはレイガーと結婚することになるのだと約束されたのは、まだ幼い娘だったころ——六歳か七歳の頃だった。

しかし、レイガーお兄様は容姿端麗、文武両道、一点の隙もない王子様だったのですねぇ。

レイガーとともにドラゴンに乗って飛ぶ絵を描いた、

なんて、サーセイ可愛いとこあるじゃん!

サーセイが10歳になって、エイリスがキャスタリー・ロックに臨幸した際、

タイウィン公は実際にこの縁談を持ちかけたようです。

が、あっさり「おのが跡継ぎに臣下の娘を嫁がせる男がどこにいる?」と断られ、

タイウィンとエイリスの関係は悪化、またサーセイの初恋も散ってしまいます・・・。

彼女が、ラニスター家の一員であることを差し引いても、なんであんなに野心満々なのか、

ちょっとわかったような気がしましたねー。

本当は王位簒奪者のロバート風情ではない、正統なターガリエン家の王子に嫁ぎ、

正統な王妃になるはずだった、と考えていたのですから。

それが実際にはかなわなかったので、王権への執着にがんじがらめになっている、

それがサーセイではないでしょうか。

というところで下巻へ続きます。

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