05_BOOKS 宮尾登美子さん

[books]宮尾登美子『菊亭八百善の人びと』

菊亭八百善の人びと〈上〉 (中公文庫)

菊亭八百善の人びと〈上〉 (中公文庫)

  • 作者:宮尾 登美子
  • 出版社:中央公論新社
  • 発売日: 2003-03

 

宮尾シリーズ、しつこいですが続きます。
 

bookoffで入手したので、リンクの上下巻ではなく、
 
みっしりと活字の詰まった全1巻の文庫にて読了。

  

 
舞台は、江戸時代に会席料理を確立したという、
 
高級料亭『八百善』。
 
 
徳川将軍家が代々利用したほか、
 
ペリー来航の際の饗応料理を提供したというから、
 
今でいうと迎賓館?
  
 
戦後、ながらく閉めていた店を再開することになり、
 
サラリーマンをしていた九代目と、その妻・汀子を中心に、
 
先代夫婦、兄弟姉妹たち、従業員たちなど、
 
「八百善の人びと」の群像が描かれています。
 
 
きわだって印象深いのは、小鈴さん。
 
祖父の代から八百善で包丁を握っていたという板前さん。 
 
 
『松風の家』では、おちぶれゆく茶家に忠義をつくした、
 
不秀さんという人がいましたが、
 
この小鈴さんの忠誠心もすさまじい。 
   
 
しかも、「若奥さん」である汀子に、ひそかに想いを寄せたりしていて・・・・。
 

小鈴さんみたいな一徹な方に、想いを打ち明けられたら、
 
わたしならふらふら~と行ってしまうなぁ。

 
ま、そんなことはどうでもよくて、 
 
汀子と小鈴さんが、戦後の東京に進出してきた「京料理」を、
 
食べに行くシーンが好きです。 

 
わたしのような不調法ものは、和食と聞くと、
 
一種類しかないように考えていましたが、 
 
「江戸料理」と「京料理」って明確に違うんですねー。 
  
 
たしかに、南北に長く、風土も文化も違うので、
 
土地土地の料理があるのは当然のこと。 

 
そして、現代の日本では、「和食」といえば、
 
ほぼ「京料理」になっているそうです。
 
 
初めて京料理を口にした小鈴が、こんなことを言います。
 

「京料理とは要するに、素材そのものの味をいかに生かして調理するかというのが一大基本であって、その上にどんな味をつけるかなどとはまるで考えないでもいいわけです。

 関西ってところは恵まれている。豊富な素材はふんだんにある。

 うしろに若狭湾を控え、前に瀬戸内海も太平洋もある。

 東京のように初鰹を争って食べる威勢はなくとも、ぐじやかれいや、鯛や黒だいなどのせんさいな味が年中たのしめる。」

   
 
すこし脱線するのですが、先日こんな本も買っているのびゆら。
 

和のごはんもん―京の老舗の家の味

和のごはんもん―京の老舗の家の味

  • 作者:飯田 知史
  • 出版社:里文出版
  • 発売日: 2011-04-15

 
 
京都の「京料理道楽」というお店の十四代目当主という、
 
飯田知史さんという方が書かれたレシピ本で、新刊ラジオを聞いて即購入。
 
(筍ごはんがおいしそうで~~~)
 
 
こちらで紹介されているレシピを見て思ったのは、
 
手間はかけるけど、素材はシンプルだなぁ、ということ。
 
なので、小鈴のコメントにはとっても納得! 
 
(料理下手なのに偉そうですみません) 
  

さて、この作品、ちょっと面白い仕掛けがあります。 

 
『きのね』に出てきた雪雄と光乃の結婚お披露目の席が、 
 
八百善におこなわれるということで、
 
『きのね』と『八百善』の作品世界が交差するのです。
 
こういうパラレルワールド、愉しいんですよねぇ。 
  

あわてて『きのね』を読みなおして、
 
「あ!ほんとに八百善って書いてある」と発見した時の嬉しさといったら。
 
登美子さんも楽しく筆を運んでいたのではないかと、
 
勝手に想像しています。
  
  

残念ながら『八百善』の実店舗はすでになく、 
 
お惣菜がデパ地下などで入手できるそうです。
 
割烹家 八百善
 
機会があったらいただいてみたい~。  

菊亭八百善の人びと〈下〉 (中公文庫)

菊亭八百善の人びと〈下〉 (中公文庫)

  • 作者:宮尾 登美子
  • 出版社:中央公論新社
  • 発売日: 2003-03

 

 

 

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